両眼像融合に関する一検討

概要

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一般に人間の両眼に投影される像は、左右で若干のずれが存在している。しかし人間はそのずれをずれと感じず、両方の像の対応点を融合させて一つの像として受けいれる。そして3次元物体を見る場合には、融合の際に補正したずれの量(視差)をむしろ積極的に利用して、ものの立体感を得ている。ステレオビジョンは、上記の視差検出をカメラとコンピュータを用いて実現するもので、これまで極めて多くの研究・開発が行われて来ている。しかしこれまでに提案されたアルゴリズムの殆どが、いわゆるエピポーラ条件を用いて左右画像の対応点探索の範囲を各々1次元に限定し、対応点検出問題の簡単化を図っている。ところが、このエピポーラ条件を利用するためには、左右カメラのパラメータおよび互いの位置関係が厳密に求まっていることが前提となる。このことは、これをそのままロボットの視覚に用いようとすると、カメラの輻輳・開散や焦点合わせ、ズームなどの種々の連動と連携した光学系パラメータの厳密な管理が必要となり、またそのためにカメラ系を駆動するメカニズムに多大の精密さと堅牢さも要求される。そこで最近、カメラの運動に際してのパラメータの誤差を吸収するセルフキャリブレーションの研究も現れている。一方、人間においては、左右の画像間に多少の上下の位置ずれや傾き、大きさの差があっても、両者を融合して立体感を得ることができるという、柔軟性が有る。そこでここでは、対象物の絶対的な距離計測精度を追求する方向はとらず、より人間に近い柔軟な測定条件の立体視アルゴリズムの実現を目的に、まず基本的な融合現象について検討する。
一般社団法人情報処理学会の論文
1989-10-16

両眼像融合に関する一検討

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