シミュレーテッドアニーリング法を用いたRNA二次構造予測
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概要
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我々はシミュレーテッドアニーリングを用いたRNAの二次構造予測法を提案した。塩基配列の任意の断片に対して、その構造的特徴を計算機上で迅速に予測できるようになれば、ゲノム研究を推進する上での有力な道具となろう。三次構造を力学計算のみによって求めることは計算コストの面であまり実用的ではないが、二次構造は比較的簡単に計算できるため、現実の構造の大まかな特徴を知る上で有力な手がかりとなっている。二次構造予測法のうち、現在広く用いられているのはzuker&Stiegler[2,3]により提案された再帰型の動的計画法アルゴリズムである。この方法ではシーケンス長をnとするとき、0(n2)の記憶領域と0(n3)の計算時間を消費する。このため、現在市販されているパッケージプログラムをみても、数百bp(塩基対)までの小規模なシーケンスしか扱えないものがほとんどである。最小エネルギー状態が確実に求まる点が特長ではあるが、本来は三次元的であるゲノムを二次元に閉じ込めたと仮定して安定構造を推定しているのであるから、計算時間を投じてその厳密な最小状態を求めてみたところで、現実の構造と一致するとは限らない。そこで最小状態を確実に得るという保証を緩和する代わりに、大規模の配列に対してより現実的な時間で複数の候補解を出力するアルゴリズムの登場が期待される。今回開発したプログラムは、シミュレーテッドアニーリングの原理に基づいて塩基間の水素結合を確率的に置換し、エネルギー的に安定な構造を探索するものである。シミュレーテッドアニーリング法の運用にあたっては温度低下スケジュールが問題であるともいわれるが、我々[エントロピー減少一定」の規範を採用し効率化を図っている。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1991-02-25
著者
-
秋山 泰
電子技術総合研究所情報アーキテクチャ部計算機構研究室
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古谷 立美
電子技術総合研究所電子計算機部計算機方式研究室
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古谷 立美
電子技術総合研究所情報アーキテクチャ部計算機構研究室
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秋山 泰
工業技術院電子技術総合研究所
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古谷 立美
電子技術総合研究所
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