複合階層グラフ自動描画における手描き様曲線の利用について : 発想支援系の基礎技法の開発

概要

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我々は,発想支援系における図的インタフェースのためのグラフ自動描画法の研究を行っている。この種の描画法は,従来のCADを中心とする描画法のように,物理的な基準によりレイアウトを行うものとは異なり,概念伝達を主な目的として,認知的あるいは美的基準等の可読性基準を重視した描画を行うことを特色としている。従来の図的インタフェースにおける自動描画法は,機能主義的な立場に立ち,簡潔性・規則性・対称性・精巧性等を重視した幾何学的な図を得ることを指向してきているように思われる。しかし,KJ法等の既存の発想技法では,手描きの図が用いられることが多く,複雑性・不規則性・多様性・活動性等からくる人間味や親しみやすさ等の特徴を発想活動に積極的に利用していると考えられる。我々の自動描画の研究においても,主として認知的基準による幾何学的な図の描画を行ってきたが,本稿では,発想を逆転し,機械により手描き様図を出力する試みについて報告する。このような指向は,今後ヒューマン・インタフェースの観点からも,より着目されるべきものであろう。
一般社団法人情報処理学会の論文
1988-09-12