クラス記述と要求仕様記述を独立させたオブジェクト指向型C言語プリプロセッサの開発
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概要
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手続き型言語(C言語)にオブジェクト指向型言語の「クラス」とその継承機構の概念をプリプロセッサの形で組み込むことによりプログラムの部品化・再利用を実現しようという試みが行なわれている。しかし、従来のオブジェクト指向型言語の持つクラスの機構によりプログラムを共用・再利用しようとする場合には、要求仕様に基づいて作られる処理や私的な処理など、部品としての性格の薄い処理も何らかの「クラス」に属するメソッドとして定義する必要が生じる。したがって、部品として定義したメソッドと要求仕様から定義されるメソッドが同一クラス内に混在することになり、このことは不必要に個々のクラスの大きさを増大させるだけでなく、クラスを純粋な部品として再利用することを困難にしてしまう。そこで、我々は、次のような考えに基づいたクラスの再利用を可能にするためのオブジェクト指向型C言語プリプロセッサ、およびその支援処理系をunix上で開発中である。(1)要求仕様に基づいた処理の記述は「要求仕様記述言語」というクラス定義とは別の言語で行なう。そして、共用クラスはユーザ共有のディレクトリ下に定義しておき、部品として共用できるようにする。(2)「要求仕様記述言語」を用いて行なう要求仕様記述は、基本的に既定義のクラスのみで行なう。このことによって、要求仕様記述言語におけるクラスの定義は不要となり、基本的にはインスタンスの生成(「道具立て」)とそれへのメッセージング(「その操作」)で要求仕様を表現できる。(3)(1)で定義するクラスとは別に処理固有のクラスや私的なクラスを定義する必要がある場合には各ユーザ所有のディレクトリ下で作成する。尚、インヘリタンスの対象となるクラスは(1)で定義されるクラスを含め、unix上で個々のユーザがアクセスできるファイル内で定義されたすべてのクラスである。(4)クラスの増加や第三者による利用を考慮し、(1)、(3)のように定義したクラスやメソッドについてのユーザインタラクテイブな検索機構を設ける。本稿では、本処理系のシステム構成、各言語の概要、クラス検索の方法、ならびに、開発現状について述べることにする。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-10-01
著者
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