酢酸によるL-グルタミン酸醗酵 : (III)TCA回路酵素系欠失変異株による酢酸の代謝
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概要
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L-グルタミン酸生産菌における酢酸代謝の調節機構を知る目的で, オレイン酸要求菌Brevibacterium thiogenitalis D-248より, 酢酸からのL-グルタミン酸生合成経路上の酵素であるglutamate dehydrogenase, isocitrate dehydrogenase, isocitrate lyase, aconitate hydrataseの4種の酵素のそれぞれの欠損株を誘導し, これらの菌株における酢酸の代謝について調べた.Glutamate dehydrogenase欠損株は, 親株より高い酢酸酸化活性を示し, しかも培養条件によってほとんど影響されなかった.Isocitrate dehydrogenase欠損株は, 酢酸を完全酸化した.したがって本菌にはTCA回路を経ない酢酸の完全酸化系の存在が推定された.また, isocitrate lyase欠損株も酢酸を完全酸化することから, グリオキシル酸回路の関与しない酢酸の完全酸化系の存在が考えられた.しかし, aconitate hydratase欠損株は酢酸をほとんど酸化することができず, 酢酸の酸化には本酵素を含む系が必須と考えられた. 以上の結果から, Brevibacterium thiogenitalis D-248の酢酸酸化系としてはTCA回路, グリオキシル酸回路の2種のみが働き, それぞれが単独あるいは同時に酢酸の酸化に関与しているものと推定した.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1972-03-25
著者
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