Pseudomonas aeruginosa の β-ラクタム抗生物質高度感受性変異株の2,3の性質 : β-ラクタム抗生物質の生産に関する研究(IV)

概要

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Pseudomonas aeruginosa から誘導された β-ラクタム抗生物質高度感受性変異株, PsC^<SS>, の特性を親株のそれと比較した.変異株 PsC^<SS> は, 形態的には親株とかなり異なっていたが, 生理的性質は, 酢酸の資化性を失っている以外は親株と全く差がなかった.変異株は, 各種のβ-ラクタム抗生物質に対して特異的にかつ高度に感受性であり, その他の細胞壁合成阻害剤, 細胞膜阻害剤, 蛋白合成阻害剤や核酸合成阻害剤に対してはほとんど感受性の変化がみられなかった.しかし, 例外的に数種の抗生物質すなわち, クロラムフェニコール, エリスロマイシン, クロルテトラサイクリン, カナマイシン, オオマイシンおよびマイトマイシンCに対して若干の感受性増大がみられた.各種バクテリオファージ, リゾチームl, 色素類や界面活性剤に対する感受性の変化の有無についても調べたが, ラウリル硫酸ナトリウム (SDS)に対する感受性が増大している他は変化がみられなかった.変異株 PsC^<SS> は SDS に対する感受性が増大しているところから, 細胞表層における変化がβ-ラクタム抗生物質やその他の抗生物質に対する感受性増大に関与していることが考えられた. そこで感受性に変化がみられた抗生物質について復帰変異株の誘導を試みたところ, β-ラクタム抗生物質に部分的に耐性になった変異株は, クロルクロテトラサイクリン, エリスロマイシン, クロラムフェニコール, マイトマイシン Cに対しても耐性になっており, 同時に SDS に対しても耐制を獲得していた. また, クロルテトラサイクリンに対する復帰変異株も同様の性質を示した. したがってこれらの復帰変異株では, PsC^<SS> 株にみられた細胞表層における変異が復帰したものと考えられたが, これらの復帰変異株はセファロスポリンCに対して依然として高度に感受性であった(MIC0.1〜0.5μg/ml).一方, 変異株はPsC^<SS>はβ-ラクタマーゼ活性をほぼ完全に欠いていたが, 親株から別に誘導された数珠のβ-ラクタマーゼ欠損株に対するセファロスポリンCのMICはいずれも20〜30μg/mlであった. したがって, 変異株PsC^<SS> のβ-ラクタム抗生物質に対する感受性化の機構としては(1)細胞表層の変化と (2)β-ラクタマーゼの欠損以外にさらに第3の因子の関与が考えられた.
社団法人日本生物工学会の論文
1976-10-25

Pseudomonas aeruginosa の β-ラクタム抗生物質高度感受性変異株の2,3の性質 : β-ラクタム抗生物質の生産に関する研究(IV)

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