β-ラクタム抗生物質生産微生物の探索 : β-ラクタム抗生物質の生産に関する研究(第1報)

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Pseudomonas aeruginaosa IFO 3080 から, β-ラクタム抗生物質に対して高度に感受性の変異体PsC^<SS>株を誘導した. この変異株を利用し, 約3万株の糸状菌, 酵母, 細菌および放線菌についてβ-ラクタム抗生物質生産能を調べた結果, 141株にその生産性を見出した. このなかで25株はG-タイプのペニシリン生産株であったが, その他はセファロスポリンとペニシリンNの生産株またはペニシリンNのみの生産株であった. またβ-ラクタム抗生物質生産株は, 糸状菌と放射菌にのみ見出され, 細菌, 酵母には, 調べた範囲では見出されなかった. セファロスポリン抗生物質生産株は, 従来, Cephalosporium, Emericellopsis および Streptomyces 属の数株に見出されていたにすぎなかったが, ここで新しく, 子のう菌 Anixiopsis および Arachnomyces 属菌, 不完全菌 Spiroidium 属菌がセファロスポリン抗生物質を生産することを見出した. Emericellopsis 属では, これまでセファロスポリン抗生物質の生産が知られていた E. globra および E. microspora 以外に, E. terricola, E. minima, E. synnematicola, E. mirabilis および E. salmosynnemata に属する菌株がセファロスポリン抗生物質を生産した. また土壌から分離された40株のβ-ラクタム抗生物質性産 Cephalosporium 属菌について分類学上的検討を加えた結果, β-ラクタム抗生物質生産株はその約1/3が C. acremonium に属したが, C. purpurascens, C. roseogriseum, C. polyaleurum, C. chrysogenum およびその他の種にも広く分布していることがわかった. G-タイプペニシリン生産株は, 従来, Penicillium, Aspergillus, Trichophyton, Epidermophyton, Malbranchea 属に見出されていたが, 新しく Polypaecilum, Thermoascus, Gymnoascus 属菌も生産することを見出した. 次に, はじめてセファロスポリン抗生物質を生産することが明らかにされた Arachnomyces, Anixiopsis および Spiroidium 属菌の生産するβ-ラクタム抗生物質を薄層クロマトグラフィーおよび濾紙電気泳動で調べたところ, いずれもペニシリンN(C_4), 少量のデアセチルセファロスポリンC(C_1)およびセファロスポリンC(C_1)以外に未知のセファロスポリン化合物(C_3)を見出した. そこで, Anixiopsis peruviana CBN 301.67株の培養濾液から, 活性炭, イオン交換樹脂およびセルロースによるカラムクロマトグラフィー, 薄層クロマトグラフィー, 濾紙電気泳動によりC_3を結晶として単離した. 本化合物は, その理化学的性質から, 従来微生物による生産が知られていなかったデアセトキシセファロスポリンCと同定した. デアセトキシセファロスポリンCはこれらの培養濾液だけでなく各種の Cephalosporium および Emericellopsis 菌属の培養濾液中にも見出された.
社団法人日本生物工学会の論文
1975-06-25

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