アカマツ根の山火枯死・腐朽に伴う引張強度の低下
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
広島県において山火後の経過年数と太さの異なるアカマツ根の引張強度を測定した。生きたアカマツ根では, 根の断面積当りの引張強度は細根ほど強かった。しかし, 枯死後の引張強度は経過年数に伴って, どの直径階の根も低下し, とくに細い根ほどその傾向は著しかった。一本の根の中心部と周辺部の引張強度を比較すると, 枯死前, 直後では中心部より周辺部のほうが強いが, 3〜4年後では周辺部の引張強度の低下が進み, やがてその関係は逆転した。以上の実験結果にもとづき, 断面積〜引張強度関係の数学的モデルを構成し, このモデルと根の直径分布密度関数から根系の総引張強度の時間的推移をシミュレートした。その結果, 土壌緊縛力に直接貢献していると思われる直径1cm以下のアカマツ細根は, 山火後7〜8年でほとんどその引張強度を喪失することが予測された。従来報告されている伐採後の他樹種と比較して, 焼死アカマツ根の土壌緊縛力の低下が比較的速いことが示された。
- 日本森林学会の論文
- 1983-05-25
著者
-
中根 周歩
広島大学総合科学部
-
中根 周歩
広島大学総合科学部自然環境科学講座
-
高橋 史樹
広島大学総合科学部
-
中川 勝範
広島大学総合科学部
-
Nakane Kaneyuki
Graduate School Of Biosphere Sciences Hiroshima University
-
高橋 史樹
広島大学総合科学部自然環境研究講座
関連論文
- 3A1000 極楽寺山における林外雨、樹幹流と土壌pHの測定
- 広島県極楽寺山におけるガス状汚染物質の動態とマツ・広葉樹の樹木活力度との相関関係
- 大気中NO_2濃度の短期暴露式簡易測定法の検討
- 米粒中におけるコクゾウの幼虫個体数制御機構
- コクゾウの白米と玄米の対する産卵選好
- B-51 コクゾウの米粒中における幼虫個体数制御機構(生態学)
- D-41 コクゾウの白米と玄米に対する摂食・産卵選好(寄主選好性・耐虫性)
- 水田におけるアメリカカブトエビの個体数変動
- E-39 カブトエビの卵のふ化率の季節変動(生活史・その他)
- 摘葉処理と競合関係がシバ(Zoysia japonica)の再生長に及ぼす影響