米粒中におけるコクゾウの幼虫個体数制御機構
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概要
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コクゾウの米粒に対する産卵分布はポアソン分布で近似できる.玄米粒1個に複数個産卵させると, 小粒系と中粒系の品種では1匹しか羽化せず, 大粒系でも1匹羽化がほとんどであった.大粒系米粒よりもさらに大きな人工米を作り産卵させると, 複数羽化の頻度が増加したが, その場合でも死亡率は高かった.コクゾウが発育可能な人工米の最小重量は5.1mgであり, 通常の玄米の約1/4であった.羽化脱出後の残渣米に産卵させても発育する個体があった.また, 半分に割った玄米にテトロンゴースをはさんで貼り合わせたところ, それぞれの半球から1匹ずつ羽化したことから, 生物的条件づけや揮発性の発育阻害物質は役割を果さないか, あるとしても少いと考えられた.20∿26mgの人工米に複数個産卵された場合, 2齢幼虫期に生存虫が1匹に減少し, 死亡個体の頭部などに咬傷痕が観察された.これらのことから1匹羽化の理由はおもに2齢期に幼虫間の攻撃により, 1匹だけ生き残るためと考えられた.
- 日本昆虫学会の論文
- 1982-12-25
著者
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