エネルギー収支によるヒノキ林の蒸発散量測定
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概要
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林地におけるエネルギー収支に着目して, 熱収支法, MONTEITH法によりヒノキ林の蒸発散量を推定した。測定期間の総量で比較すると, 熱収支法とMONTEITH法による蒸発散量は, 純放射量のそれぞれ0.54,0.73,また蒸発計蒸発量のそれぞれ0.60,0.81に相当した。樹冠遮断に起因する蒸発量は, 両法による蒸発散量の約3〜4割を占めた。以上のように, 両法の推定値に差が生じた一因として, 降雨中における遮断水分の蒸発の影響が考えられ, 降雨中の蒸発散がほとんど計算されない熱収支法では, MONTEITH法の値より過小になった。また, 林冠が濡れている場合, 熱収支法とMONTEITH法による蒸発散量は, 純放射量のそれぞれ0.74,1.09を占めた。したがって, 林冠に遮断された水分の蒸発は速く, 同一の放射条件下ならば, 林冠が乾いているときの蒸発散の約1.5〜1.7倍に達した。また, 降雨時にはしばしば純放射量<蒸発散量の関係が出現した。これは大気中から林冠への顕熱の輸送, つまり移流の影響と推察された。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1981-04-25
著者
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