ヒノキ林地の放射収支(I) : アルベドの季節変化
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概要
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閉鎖したヒノキ人工林における放射収支の実態を解明するため, 1980〜81年にかけ各種放射量の測定を実施した。本論では, 林分に吸収される太陽の放射エネルギーを指標するアルベドの挙動を解析する。全短波放射量と反射短波放射量の間にはきわめて高い回帰関係が存在し, そこには1次式が成立する。また, その係数には季節変化が認められた。当林分の年平均アルベドは10.8%で, 太陽放射を効率的に捕捉していることがわかった。さらに, アルベドは8〜13%の範囲で推移し, 冬季に小さく, 夏季に大きい季節変化を示す。それには林分構造の変化が密接に影響していると推察された。アルベドは日出・日入ごろに20%以上に達するが, 日中には10%前後を推移し, 凹型の日変化を示す。これは太陽高度が高くなると, 林冠内への入射量が増大し, 群落要素間での多重散乱の機会がふえるため, 放射捕捉が増大することに起因すると考えられる。そして, アルベドは太陽高度の増加とともに減少し, 両者の関係はベキ乗曲線で近似されることが知られた。
- 日本森林学会の論文
- 1984-04-25
著者
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