マツ葉ふるい病に関する研究(第1報) : マツ葉ふるい病の病原菌について
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概要
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1)1962年10〜12月, 島根県松江市のアカマツ林において, 葉ふるい病の病徴および標徴を観察した。当年枝に付着した葉には黄褐色斑と全面的黄褐変色, 1年枝に付着した葉には紫褐色斑の各病徴を, 落葉にはLophodermium pinastriの子のう盤^×およびこの菌の不完全時代(Leptostroma pinastri)の分生子殻を認めた。2)これらの罹病葉から, おもにLophodermium pinastri, PestalotiaおよびAureobasidiumに属する菌が分離された。黄褐色斑葉からはおもにLophodermium, Pestalotia両菌が, 全面的黄褐色変葉および紫褐色斑葉からはLophodermium, PestalotiaおよびAureobasidium菌がほぼ同じ割合で, 子のう盤および分生子殻の部分からはほとんどLophodermium菌だけが分離された。3)Lophodermium, PestalotiaおよびAureobasidium菌の分生子により, これらの菌の病原性を確めた。Lophodermium, Aureobasidium両菌は無傷葉でも, またPestalotia菌はほとんど有傷葉にのみ病原性を示した。4)Lophodermium, AureobasidiumおよびPestalotia菌の生理的性質を調査した。分生子は, Lophodermium菌は20℃, pH5.0付近, Aureobasidium菌は20〜28℃, pH6.0付近, Pestalotia菌は20℃, pH4.0と7.0付近でよく発芽した。Lophodermium, Pestalotia両菌は, マツ葉上水滴中できわめてよく発芽した。菌糸は, Lophodermium菌は20〜24℃, pH5.2付近, Aureobasidium菌は20〜24℃, pH5.8〜7.6付近, Pestalotia菌は16〜24℃, pH6.8〜7.6付近でよく発育した。Lophodermium菌はジャガイモ煎汁寒天培地およびマツ葉煎汁寒天培地, Aureobasidium菌はジャガイモ煎汁寒天培地, Pestalotia菌はCZAPEK寒天培地およびジャガイモ煎汁寒天培地で良好に発育した。
- 1964-11-25
著者
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