幹の樹液流速度と樹冠部の木部圧ポテンシャル
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概要
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ヒノキ孤立本(樹高16m・胸高直径50cm)について樹液流速度と樹冠部の木部圧ポテンシャルの日経過をしらべた。木部圧ポテンシャルはヒノキ幼齢木のばあいと異なり, 日の出後ゆるやかに低下した。木部圧ポテンシャルの最高値は日の出前後に, 最低値は日中にえられた。樹冠部下層の木部圧ポテンシャルは上層のそれにくらベ1日をつうじて高かった。樹液流速度は木部圧ポテンシャルの日経過と対応した経過をたどった。幹上部の樹液流速度の変化に対して幹下部のそれはおくれを示し, こうしたおくれはくもりの日のばあい1日をつうじて, はれの日のばあい午前中にだけあらわれた。木部圧ポテンシャルと樹液流速度の日経過を整理してくらべてみると, 木部圧ポテンシャルが低いほど樹液流速度ははやくなるが, 上昇する割合は徐々にさがる傾向を示した。これらの結果から, 大きな木では, 樹体内のいろいろな通水抵抗によって水分不足を生じた部位への水補給がおくれ, さらに木部圧ポテンシャルが低下する可能性がたかいとかんがえた。
- 日本森林学会の論文
- 1976-01-25
著者
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