初冬におけるスギ耐凍性選抜木の葉の水分特性

概要

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茨城県林試構内に植栽されているスギ耐凍性選抜木の一部について, P-V曲線法を用いて晩秋から初冬にかけて葉の水分特性を調べ, 乾燥抵抗性のクローンによる差異および乾燥抵抗性と耐凍性との関係を検討した。圧ポテンシャル(Ψ_p)を失うときの相対含水率(RWC^<tlp>)はクローンで違わなかったが, Ψ_pを失うときの水ポテンシャル(Ψ_w^<tlp>)や十分吸水したときの浸透ポテンシャル(Ψ_s^<sat>)は耐凍性の高いクローンが低いクローンと比べて低く, 水欠差に対するΨ_pの維持は耐凍性の高いクローンが有利であった。しかし, 浸透調節に重要な細胞内液の溶質量はクローンで差がなく, Ψ_s^<sat>との関連はみられなかった。細胞の体積弾性率(ε, ε_<max>)は耐凍性の高いクローンが高く, これらの細胞は耐凍性の低いクローンと比べて強固で可塑性にとむことがわかった。こうした水分諸特性の差異は耐凍性の違いを反映しており, P-V曲線法によって得られる水分特性が耐凍性を比較する上で有効な指標となりうる可能性が示された。
日本森林学会の論文
1988-12-01