単一チェンソー歯の木材切削性能試験(III) : その歯型と側面が切削エネルギーにおよぼす影響

概要

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前回までの二つの報告で, チッパー型チェンソー歯の木材切削性能がほぼ明らかになった。そこで今回はこのチッパー型チェンソー歯と木工用鋸歯ないし, クロスカット型チェンソー歯との切削性能の比較を行なった。かかる本質的に異なる歯型間の比較であるから, 何を基準とするかが問題になるが, 今回は最も一般に用いられているチェンソー歯の諸角度を基準として比較を行なった(図-1)。次に, チェンソー歯は「つ」の字型をした特異な歯型を有しており, 本来は溝を掘るような切削(Grooving)を行なうものである。したがって, 図-6のような状態で溝を掘ってゆき, そのときの状況およびそのときの上刃と側刃との関係について検討した。前回と同様, 振子式木材切削試験器を用いた。そして被削材の因子と水準は表-1,表-2に示してある。結果 : (1)チッパー型チェンソー歯の「切れ味」は他の歯と比較して決して良いとはいえない。しかし, チッパー型チェンソー歯と組みアサリ鋸歯(クロスカット型チェンソー歯)とを比較した場合, 木繊維に平行な切削方向では, すくい取るような切削を行なうチェンソー歯のほうが切削エネルギーは少なく, 木繊維に直角な切削方向では逆に木繊維を切断する刃先をもつ組みアサリ鋸歯のほうが切削エネルギーは少ない。(2)チェンソー歯において, 切削エネルギーと木材の比重は, 0.29〜1.30(キリ〜コクタン)の間で正比例する。(3)溝掘り切削(Grooving)を行なった場合, チェンソー歯では, 挽道の両側壁な切削するに要するエネルギーは全切削エネルギーの41〜67%(切削段階に応じて)であった。この割合を組みアサリ歯のそれと比較した場合, 全切削段階を通じて少なめであった。これはチェンソー歯が組みアサリ鋸歯とちがってめいりょうな側刃を有すること, また上刃と側刃の結合点が円弧状であるので, 常に挽道の底面の切削に負担がかかりがちであるためと考える。
日本森林学会の論文
1967-11-25

単一チェンソー歯の木材切削性能試験(III) : その歯型と側面が切削エネルギーにおよぼす影響

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