ナラ類集団枯損木のビニールシート被覆による防除

概要

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1980年以降, 日本海側の各地においてカシノナガキクイムシの穿入を受けたナラ類の集団枯損が拡大し, 問題となっている。被害発生地において, ナラ類の枯死を防ぐために幹をビニールシートおよび麻布で被覆する実験を行った結果, 枯損率は低下したものの無処理木と有意差は認められなかった。次に, 被害拡大を阻止する目的で, 林分内のすべての穿入木をビニールシートで被覆する実験を行った。しかし, 無被害木の被害発生は阻止できなかった。ビニールシートを被覆した穿入木を割材して, 生存虫数の調査とナラ類病原性未同定菌の分離調査を行った。その結果, 74%の虫が生存し, ほとんどの材片から菌が分離されたことから, 殺虫と殺菌の効果は低いと考えられた。しかし, ビニールシート被覆木からの羽化脱出虫の捕獲調査で, わずかの成虫しか捕獲できなかったことから, 羽化脱出防止効果は認められた。また, 樹皮へのクレオソート塗布により, カシノナガキクイムシの穿入を回避できることが示唆された。
2001-11-16