アズマネザサの地上部C/F比の可塑性と生態的意義

概要

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林床管理停止後の経過年数の異なるコナラ二次林の林床およびマツ枯れ跡地において, アズマネザサの地上部構造をC/F(非同化器官重/同化器官重)比に注目して調査した。アズマネザサの地上部は, 被陰や下草刈りなどによって物質生産にストレスを受けている環境下では著しく小さくなった。落ち葉かきを毎年行っている場所でのアズマネザサは, 稈長が20 cm以下の地上部が全体の98%を占めた。反対に物質生産にストレスがない場所では, 4 m以上にもなる地上部が出現し, 地上部の大きさの可塑性は著しく大きかった。また, 大きな地上部ほど寿命が長く, 寿命は4年であった。地上部の大きさの可塑性にともない, C/F比の可塑性が著しく大きくなった。一般的に耐陰性の強さとC/F比は密接な関係があり, C/F比が小さいほど耐陰性は大きい。アズマネザサは約1 mを超えるとC/F比が非常に著しく大きくなり, 耐陰性は低下すると予測された。しかし, 大きくなることによって, 低照度環境から脱け出す能力(脱陰性)が強くなる。地上部およびC/F比の大きな可塑性がアズマネザサの生育地の拡大に貢献していると推察された。
日本森林学会の論文
1998-08-16