樹冠縦断面形のフラクタル性について
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概要
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樹冠縦断面形を定量的に記述する新たな方法としてフラクタル幾何学の導入を試みた。まず、水平方向から撮影した樹冠部の写真を用いて、コンピュータによる画像処理を行い、ボックスカウンティング法を適用し、樹冠縦断面形にフラクタル性があるかどうかについて検討した。針葉樹4樹種、広葉樹3樹種に対して解析を行った結果、樹冠縦断面形はフラクタル性を有することが確かめられた。また、その形状はフラクタル次元によって1から2の間の非整数で数値化された。フラクタル次元はクラスター構造が発達した樹冠や、葉密度が低く、隙間の多い樹冠では高い値を示し、一方、樹冠の表面に葉が密生しているものでは低い値を示した。これらのことから、フラクタル次元によって、同一樹種内でも着葉形態や葉密度の違いで異なる樹冠縦断面形の定量化が可能であることがわかった。このフラクタル次元による定量化は、写真を使っての解析であることから、樹冠形の時系列の変化を記述するのに有効であると考えられた。
- 1994-05-01
著者
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