多変量解析による海岸クロマツ林の林型区分
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概要
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海岸クロマツ林は防災林としてだけでなく,生活環境林あるいは保健休養林として重要性が高まりつつあるが,昭和40年代後半から増加したマツクイムシ被害によって,公益的機能の発揮上,危惧される林分も広範に見受けられる.例えば,若齢の一斉林から老齢の複層林型を呈する林分まで,あるいは林分密度的には除・間伐遅れの過密林や上層木がきわめて疎に点在する林分まで多様な林分構造が存在する,このような多様な林分の保育・管理の実行に当たっては,取り扱いを容易にするように適切な林型区分を行い,林型ごとに取り扱いの方法を定めていくことが望ましい.そこで,本研究では多変量解析により海岸クロマツ林の林型区分を行い,類型化の妥当性について検討した.生の松原及び虹の松原のプロット調教の資料を用い,まず,クラスター分析を適用し,デンドログラムにより林型を区分し,主成分分析により各プロットをスコア散布図上に表し,林型相互の関係を明らかにし,主成分の意味付けから林型区分の妥当性について検討した.クラスター分析の結果,8つの林型に区分され,主成分分析を適用した結果,主成分の意味付けから,各林型は林木の競合状態,林分蓄積,樹高のばらつきの程度によって区分の説明が可能となり,林型相互の関係もこれらの主成分で明らかとなった.また,一部の林型では,当分,人為を加える必要はなく放置,あるいは下木の植栽や除・間伐の必要性が示唆されたが,全プロットの8割を占める林型では,一斉林の取り扱いとは異なった新たな方法の開発が必要であり,さらに,生活環境林あるいは保健休養林として望ましい林型の研究も必要であることが示唆された.This paper describes classifying seaside black pine forests with various stand structures by multivariate analysis. For the management of those forests, it is practicable to classify proper forest types. Stand survey data in Ikinomatubara of Fukuoka prefecture and Nijinomatubara of Saga prefecture were used as the basic data. Multivariate analysis was applied to ones. Stands were classified into 8 forest types using cluster analysis and the resultant dendrogram. As a result of principal component analysis, scores of each plot were plotted on three scatter diagrams. The relationships between forest types were considered using both the dendrogram and three diagrams. From the result obtained, it was explained according as tree competition, stocking and the variation of tree height.
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