ヒノキ林における土壌水分と飽差が蒸発散に及ぼす影響

概要

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ヒノキ人工林の生育期の蒸発散を微気象学的に測定し, 土壌水分と飽差の影響を解析した。本林分の臨界水分点はpF2.45で, これ以上乾燥すると蒸発散の抑制が発現し, 蒸散は指数的に減少する傾向を示した。pF2.45以下の湿潤条件下でも, 日中の平均飽差が10mbを越えると, 気孔閉鎖に伴う蒸散の低下がみられることが確認された。そのため, 夏季の蒸発散は, 土壌水分と飽差の両因子の影響程度により異なる日変化を示した。本林分の地面修正量と粗度長は風速に依存して変動するが, 全体的な傾向として, 風速の増大とともに地面修正量は減少し, 逆に粗度長は増加した。また, 地面修正量と粗度長の風速依存性を考慮して求めた空気力学的抵抗は, 両パラメータを固有値とした場合と大差ないことがわかった。一方, 群落抵抗は日中には概ね0.5〜1.Osec/mの範囲を推移し, 夕方に増加する日変化を示した。土壌がpF2.45以上に乾燥すると, 群落抵抗は湿潤時の3〜6倍にまで増加し, 午前, 午後を通して増加基調を示すことが知られた。
1993-05-01