新しい成長関数とそれに基づく平均量の成長式
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
胸高直径合計Dや樹高合計Hの成長の動きにはある林齢から減少している例があり, 従来の主要な成長式ではこの成長経過を表現できない。本研究ではこの減少する成長経過をも表現できる成長モデルを考え, 新しい成長関数を誘導した。この成長関数に対する数学的解析の結果, この関数はパラメータSの符号によりGOMPERTZ関数を含む三つのタイプの成長曲線を表せることがわかった。とくにSが負の場合, 成長曲線は正規分布曲線のようなパターンを示し, ある林齢から減少する成長経過をも表現できることがわかった。そしてこの関数は, 長い時間を通じてそこに生存する植物の個体数の変化をも表せるのではないかと示唆された。次に, この成長関数が現実林分のDおよびHの動きに対してどのくらいの有効性があるのかを最大誤差率E_mおよび平均誤差率E^^-を通じて検討した。その際, 従来からよく使われているRICHARDS成長関数(R関数)との比較も行った。その結果, DおよびHの動きに対してこの成長関数のE_mとE^^-はR関数のそれらよりも小さく, ある林齢から減少する成長経過を表すモデル式としてかなり有効なことがわかった。さらに, この成長関数と本数減少のモデル式としてのXИЛБМИ式を仮定して新たに平均量の成長式を誘導し, 現実データに対するこの式の有効性について検討した。
- 日本森林学会の論文
- 1992-03-01
著者
関連論文
- ワイブル分布と拡張ワイブル分布の適合性について
- 森林計画における森林諸機能の最適配分
- 早くて容易な森林調査法の発展
- カウントのみによる立木本数の推定法
- 新しい成長関数とそれに基づく平均量の成長式
- 統計的決定理論による標準年伐量の決定
- 単木生長モデルから誘導されたGOMPERTZ関数
- 直径分布に関する理論的検討(I) : ワイブル分布の形状パラメータと枯死率との関係および拡張ワイブル分布の誘導
- プロットレスサンプリングからの林分利用材積の推定について
- 林分材積推定の新しい方法(IV) : ポイントサンプリングにおける別法
- 林分材積推定の新しい方法(III) : ラインサンプリングの場合
- 林分材積推定の新しい方法(II) : 林分材積推定量の母分散と本法の精度
- 林分材積推定の新しい方法(I)
- 形数の性質と林分材積推定への応用について(I)
- 森林施業地域におけるサンプリングのあり方
- 樹幹における力学的条件と成長量の縦断的配分との関係-1-スギ造林木に関する解析
- 平均胸高直径および平均樹高に対する新たな成長式の適合性
- 形数の性質と林分材積推定への応用について-2-形数の経年変化について
- 森林施業研究会・森林計画学会合同シンポジウム「計画と施業を結ぶ」の討論報告
- 林齢を考慮した材積式による立木材積の推定について
- 距離計を用いた1回視準式測高器の試作