気管支の分岐異常に発生した肺癌の 2 例

概要

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分岐異常の気管支領域に発生した肺癌の2症例を報告した。症例1は57歳男性。B.I.は約200。分岐異常は右B^1が気管, B^<2+3>が右主気管支から分枝する転位型であった。肺癌はS^1aにあり扁平上皮癌であった。手術はB^1, B^<2+3>を別々に切断, 縫合閉鎖し右肺上葉切除を行なった。症例2は68歳男性。B.I.は800以上。分岐異常は右B^<1+2>とB^3が別々に右主気管支から分岐する転位型であった。肺癌はS^2に発生していたが, B^<1+2>内腔へ突出する扁平上皮癌であり, 手術は右上葉管状切除を行なった。いずれの症例にも呼吸器感染症を繰り返した既往はない。病理組織学的には症例1の癌腫より離れた気管支に杯細胞増生がみられたが, 幼若肺組織, 扁平上皮化生などはみられなかった。本邦では分岐異常は364例報告されているが, このなかで分岐異常領域に発生した肺癌は10例, 2.75%であり, 今後同様な症例に対する多方面からの検討が必要と思われた。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1983-09-25