ハイメキサゾールの作用機構 : I) Pellicularia sasakiiの細胞膜透過性におよぼすハイメキサゾールの影響
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概要
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Pellicularia sasakiiPellicularia sasakii(イネ紋枯病箇)に対するハイメキサゾールの作用機構について検討した。P.sasakiiの生菌体をハイメキサゾール溶液に24時間浸漬すると菌体の乾燥重量が減少した。乾燥菌体重の減少度はハイメキサゾール50ppm以上の濃度で濃度が高くなるにつれて顕著であった。一方, 加熱処理した菌体をハイメキサゾール溶液に浸漬しても乾燥菌体重の減少は認められなかった。ハイメキサゾールとの接触によって菌体から漏出する蛋白量はハイメキサゾールの処理濃度が高くなるにつれて増加し, 乾燥菌体重の減少と密接な関係にあった。ハイメキサゾール250ppm溶液に菌体を浸漬し, 蛋白の漏出量を経時的に観察した結果, 菌体から漏出する蛋白量は処理後8時間まで直線的に増加し, それ以後24時間までほとんど増加しなかった。また, 菌体をハイメキサゾール溶液に1時間浸漬し, その後引きつづいて蒸溜水に23時間浸漬した場合, 菌体がハイメキサゾールと直接接触している最初の1時間内に菌体から漏出する蛋白量は少ないが, 処理菌体を蒸溜水に移した後には, 前処理したハイメキサゾールの濃度に応じて多量の蛋白が菌体から漏出した。さらに, ハイメキサゾールは乾燥菌体重の減少を起こすよりも低濃度で, 菌体によるグルコース摂取を阻害した。ハイメキサゾールはP.sasakiiにより急速に吸収され, 1時間以内にほぼ平衡状態に達した。ハイメキサゾールを含有したショ糖加用ジャガイモ寒天培地にP.sasakiiを培養すると, 10ppm, 100ppmで菌糸の伸長がある程度抑制された。この場合, P.sasakiiの菌糸に多数の膨化した部分が誘起され, ある場合には菌糸が破裂して細胞内容物が細胞外へ漏出しているのが観察された。
- 1975-07-25
著者
-
中西 逸朗
三共(株)農薬研究所
-
高日 幸義
三共(株)農薬研究所
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富田 和男
三共(株)農薬研究所
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高日 幸義
三共 農業科学研
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中西 逸朗
三共農薬研
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高日 幸義
三共 農業科研
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高日 幸義
三共(株)農業科学研究所
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富田 和男
三共 農薬研
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