土壌殺菌剤ハイメキサゾール, 3-ヒドロキシ-5-メチルイソキサゾールのキウリ蔓割病菌に対する殺菌作用機序
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概要
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土壌殺菌剤, ハイメキサゾール (3-hydroxy-5-methylisoxazol) の殺菌作用機序について, 感受性菌 Fusarium oxysporum f. cucumerinum を用いて検討した。非感受性菌 Saccharomyces cerevisiae を対照菌として用いた。前者は液体培養条件下で, ハイメキサゾールの濃度300μg/ml で生育がかなり抑制されたが, 後者は1000μg/ml の濃度においてもなお生育した。これら菌種間でのハイメキサゾールの選択毒性の差は, 主に菌種間での本薬剤の吸収量の差異に起因している。S. cerevisiae は, 本薬剤添加培養 (5hr) において, 特に薬剤代謝転換を示さなかった。ハイメキサゾールのF. oxysporum f. cucumerinum に対する殺菌作用機作を検討した結果, 本菌の生菌に対する呼吸阻害は少なく, また本菌のミトコンドリアの酸化的リン酸化反応の阻害も少なかった。さらに, ラットのミトコンドリアの酸素吸収に対する阻害作用も, ほとんどみられなかった。ハイメキサゾールが, 本菌に対して強い生育阻害を示す濃度, 500μg/ml において,本菌々体膜の透過性の阻害を検討したが, 対照薬剤, p-s-butylphenol に比較すると, 本薬剤の阻害作用は少ないものであった。木菌々体蛋白分画へのフエニールアラニンの取りこみ, 及び RNA 分画へのウリヂンの取りこみを検討したところ, ハイメキサゾールによりかなりの阻害がみられた。また本菌々体の DNA 分画へのチミヂンの取りこみ阻害を検討したところ, フエニルアラニン及びウリヂンの菌体蛋白分画及び RNA 分画への取りこみより, より強い阻害を本薬剤は示した。これらの結果より, ハイメキサゾールの殺菌作用機序として, F. oxysporum f. cucumerinum の核酸代謝, また蛋白代謝の阻害が考えられる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1976-07-25
著者
-
西川 実
三共発酵研
-
上村 昭二
三共株式会社 醗酵研究所
-
西川 実
三共株式会社 醗酵研究所
-
高日 幸義
三共株式会社 農薬研究所
-
高日 幸義
三共 農業科学研
-
上村 昭二
カネコ種苗
-
高日 幸義
三共 農業科研
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