Erwinia carotovora における RP4::Muの伝達と染色体遺伝子への影響
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概要
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Erwinia carotovora は E. chrysanthemi, E. amylovora, および E. herbicolaと異なり, 腸内細菌由来のF- 因子や R-因子と親和性がなく, このため今まで遺伝分析手段が得られないままになっていた。このため, Mu-プロファージをRP4::Muの形で E. carotovoraに導入することにより, 染色体上の遺伝子の系統間の移行を可能にしようと試みた。RP4::MUCtS61 (熱誘導性の Mu-プロファージが RP4に結合したプラズミド) を大腸菌 BE228を供与菌として E. carotovora subsp. carotovoraの2系統, E. carotovora subsp. atroseptica, E. chrysanthemi および E. rubrifaciensの各1系統に導入し得た。トランスコンジュガントにおける, Mu-プロファージの熱誘導, およびトランスコンジュガントから他の Erwiniaの系統への RP::Muの移行を確認した。Mu-ファージを37Cで部分的に熱誘導し平板培養すると, 約半数の集落がRP4による薬剤耐性を失う。また同様の処理により, リジン要求菌を得た。Mu- プロファージを部分的に誘導した供与菌と, Mu-プロファージをもつ受容菌の間で染色体上の遺伝子が移行するか否か調べ, E. carotovoraの供与菌-受容菌の間でリジン合成能およびストレプトマイシン耐性が, それぞれ供与菌あたり3.4×10^<-9>〜4.2×10^<-7>および1〜1.2×10^<-8>の頻度で移行することを観察した。また, RP4::Muをもつ E. chrysanthemiとリジン要求性の E. carotovoraの間でリジン合成能が移行することも観察した。染色体遺伝子の移行が認められたトランスコンジュガントの多くは RP4の薬剤耐性マーカーを失っていた。
- 1984-04-25
著者
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