イネおよびシナダレスズメガヤいもち病菌とシコクビエいもち病菌の交配による子のう胞子形成過程の核および染色体の行動
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概要
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シコクビエいもち病菌相互のへテロタリックな5組合せの交配と, イネ(8組合せ)またはシナダレスズメガヤいもち病菌(3組合せ)とシコクビエいもち病菌との交配における子のう胞子形成過程中の核および染色体の行動を塩酸-ギムザ染色により観察した。いずれの交配でも, 子のう内で5回の核分裂があり, 減数分裂(I, II)の後, 4核となり, その後体細胞分裂で8核となり, それぞれに細胞壁が形成される。さらに, 各細胞で2回の体細胞分裂が起り, 各回に隔膜ができて, 4細胞の子のう胞子が8個となる。減数分裂(I, II), それに続く体細胞分裂(I)時に遅滞染色体が観察されることがある。遅滞染色体は分裂時の1核について, 多くても1個の割合である。すなわち, 第1減数分裂で1または2個, 第2減数分裂で1〜4個, 第1体細胞分裂で1〜4個出現した。その頻度はイネ菌×シコクビエ菌で極めて高く(全組合せをまとめると76.7%, 観察子のう数387個), シナダレスズメガヤ菌×シコクビエ菌で低かった(14.7%)。シコクビエ菌相互の交配でも発現し, その割合は13.8%であった。イネ菌よりもシナダレスズメガヤ菌の方が遺伝的にシコクビエ菌に近縁であると推察される。イネ菌×シコクビエ菌のある組合せでは, 子のう当りの子のう胞子数が少ない例, 子のう胞子に無核細胞のある例が高頻度で認められた。このような例はシコクビエ菌相互の交配でも観察されることがあるが, 低率である。減数分裂および体細胞分裂中期に観察される単相染色体数は, いずれの組合せでもn=6である。
- 日本植物病理学会の論文
- 1979-04-25
著者
-
村田 伸夫
熱研
-
田中 良高
Post-doctoral Fellow In Department Of Plant Physiology & Genetics:(present Address) Internationa
-
村田 伸夫
Department of Plant Physiology & Genetics
-
加藤 肇
農業技術研究所
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