(41)ナシ黒斑病菌の罹病落葉上での越冬
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概要
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ナシ黒斑病菌(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)は,宿主植物であるナシの罹病芽及び枝病斑で越冬し,通常の栽培条件下においては罹病落葉上で越冬しないと考えられてきた.しかし,秋期の落葉処分や春期の除草剤処理など栽培管理の違いが,本病の発生に影響していると思われる事例が報告されているため,罹病落葉が本病の越冬伝染源としての役割を果たしていないか検討を行った.前年に採取したナシ黒斑病の罹病落葉を網袋に入れて11月から翌年の6月までナシ園の地表面に放置し,定期的に菌の分離と分離されたAlternaria属菌のナシ幼葉に対する病原性検定を行った.その結果,越冬罹病落葉からは高率にAlternaria属菌が分離され,分離菌の多くは'二十世紀'ナシ幼葉に病原性を示した.また,越冬罹病落葉からのAlternaria属菌の分生子飛散消長を調査した結果,5月中句頃から飛散数が増加し,5〜8月に飛散数が多い傾向であった.以上の結果から,ナシ黒斑病菌は罹病落葉上で越冬し,本病の越冬伝染源として重要な役割を果たしていることが推察された.
- 日本植物病理学会の論文
- 2003-02-25
著者
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