(37)2002年に富山県で確認された大豆茎疫病の発生について
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概要
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2002年6月中旬〜7月中旬にかけて,富山県下のほぼ全域にわたる21ヶ所から大豆の立枯症株が持ち込まれた.被害は播種後3〜4週目頃に顕著で,大豆地際部の茎が水浸状や褐色で急激に枯れ上がる症状が多かった.菌の分離はWA培地,Phytophthora菌選択培地(BNPRA-HMI培地改良型)等で行った.被害部からPhytophthora,Pythium,Fusarium,Rhizoctoniaの各属菌が分離されたが,Phytophthora属菌が最も多く,12/21地点で分離された.そこで,分離されたPhytophthora属菌の病原性を調べるため,品種エンレイ,オオツルに接種を行った結果,強い病原性を示し,地際から上部を早期に枯死させる立枯れや茎枯症状が認められ,患部から接種菌が再分離された.一方,分離菌の病原性,形態的特徴及び培養生育温度はHildebrand(1959)や土屋(1982)の記載した大豆茎枯病菌とほぼ一致したことから,Phytophthora sojaeと同定された.本県で発生している大豆生育初期の立枯れには疫病菌以外の菌種も関与していると推測され調査中であるが,茎疫病菌が主な病原菌であると考えられる.
- 日本植物病理学会の論文
- 2003-02-25
著者
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