根こぶ病菌感染カルス組織の培地上における生育(アブラナ科植物の根こぶ病に関する研究IX)
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概要
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Murashige and Skoog基本培地1lにNAA(α-ナフタレン酢酸) O.Smgとカイネチン(6-フルフリルアミノプリン)1.0mg添加,そしてしょ糖3%,寒天1%,またpHを5.6-5.8とした培地はカブとハクサイの根こぶ病病根及びカブ健全根組織の移植体の初代培養,また感染と非感染の両カルス組織の継代培養のために適当であった。本研究におけるハクサイからの感染カルスの培養は最初の報告である。なお人工気象室において,培養温度は25℃,300ルクスの蛍光灯連続照明の明所はカルスの生育において暗所よりもよかった。病根及び健全根組織の移植体とそれから生じたカルス組織の生重は培養5日から徐々に増加し,前者は後者よりも生長がよかった。この病根組織の移植体において,培養3日から10日までの1週間の生重は,ハクサイでは1.8倍,そしてカブでは3倍となったが,この健全根組織からの移植体では1.8倍と低かった。感染カルスは小塊状のカルス組織による桑果状,これに対して非感染カルスは全体的に膨化する形状として移植体組織あるいはカルス移植体上で観察された。感染カルス組織の生育は非感染カルス組織より明らかに旺盛であった。すなわち培養25日後,感染カルス組織は非感染カルス組織に対して,生重で1.7倍,乾重で1.4倍と大であった。カブ品種「耐病ひかりかぶ」からの感染カルス組織のクローンAとCにおいて,継代3から32まで20日ごとに継代したカルス組織の生育は一般に旺盛であった。培養20日後の平均生重は総代3から8までは4〜59,継代9から22までは3〜49,総代26から32での生育はやや上廻った。カルス組織の退化現象は32回にわたり,640日(約21ケ月)という長期間の継代培養にもかかわらず観察されなかった。カルス組織は白色及び黄白色のうちは早い生育を示したが,培養20日を過ぎると褐変化が進んだ。総代培養のためのカルス組織は培養20日後の表層の白色及び黄白色カルス組織の使用が最もよかった。感染カルス組織の生長は培養20日までは著しく旺盛であったが,その後の褐変化とともにその生育度は徐々に低下し,培養50日ころに最大生重となり,以後は減少傾向であった。
- 岐阜大学の論文
- 1990-12-25
著者
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