801. 喜界島に分布する更新統石灰岩産サンゴのウラン系列年代に関する新資料
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概要
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琉球列島喜界島に分布する更新統石灰岩(Hanzawa, 1935, のRiukiu Limestone)から, 新しく^<230>Th/^<234>U法によって放射年代を求めた。ここで報告する年代値は, ほとんどが, これまで放射年代が知られていない地点で採集した7属(Favia, Goniastrea, Porites, Montipora, Favites, Galaxea, Montastrea)・合計21個の礁性サンゴ化石から得たものである。その結果として, 喜界島の更新統の一部は, 更新世中期における2回の高海水準期に形成されたことが明らかになった。一つは, おおよそ20万年前のEmiliani and Shackleton (1974)のoxygen isotopic stage 7にあたり, 他の一つは, 25万年以上前のstage9(あるいは, より以前の温暖期)に相当する。後者の年代値は, 島の各所で採集した試料から得られたが, それら採集地点の広がりとそれらサンゴ化石を含む石灰岩の岩相などから, 当時, 礁性サンゴの生育が可能な極浅海環境が, 一つの直径が少なくとも6.5kmある範囲に広がっていたと思われる。すなわち, 基盤(上部鮮新統早町層;中川, 1969)上に, はじめて形成されたサンゴ礁は, かなりの広がりをもった卓礁であった可能性もあり, 当時の礁を形成していた石灰岩は, 現在, Konishi et al.(1974)ほかの琉球石灰岩古・中および新期部層の基底部を構成していると考えられる。今回新たに得られた^<230>Th/^<234>Uサンゴ年代から, 以前Konishi et al.(1970)によって箇条書きにして述べられた本島の地史を, 過去13万年間の部分は基本的に変更の必要はないものの, 一部修正しなければならないことを指摘する。
- 日本古生物学会の論文
- 1985-09-30
著者
-
大村 一夫
ダイヤコンサルタント
-
桜本 勇治
(株)ダイヤコンサルタント
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大村 明雄
Department of Earth Sciences, Faculty of Science, Kanazawa University
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辻 喜弘
Dia Consultant Co., Ltd.
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大村 一夫
Dia Consultant Co., Ltd.
-
桜本 勇治
Dia Consultant Co., Ltd.
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大村 明雄
Department Of Earth Sciences Faculty Of Science Kanazawa University
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