836. 本邦白亜系セノマニアン階産イノセラムス : II. 海外でよく知られ本邦では未記載であった 3 種
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概要
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北海道産の標本に基づき次の3種を記述・図示した。但し属名には広義Inoceramusを暫定的に使う。(1)Inoceramus tenuis Mantell.左右不等殻, 斜めに延びた小型の準卵形, 同心円状細肋があるだけで平滑に近いが, 成長後期に同心円状起伏が弱く発達することがある。Birostrina concentricaに似るが, 左殻頂部が短く, 内方屈曲が弱く, 〓線がやや長く後背部が明確に平坦化する。小平, 古丹別地域と大夕張地域のセノマニアン下部〜中部に産し, 海外での層序的産出と調和する。(2)I. gradilis Pergament.小〜中型, 左右著しく不等殻;左殻は高く盛り上って成長軸に沿い段階的に急変し, そこにくびれがある。右殻は盛り上りが低いが対応したくびれはある。殻の装飾は段階的に(i)殆んど平滑, (ii)同心円状の弱小肋, (iii)明確な肋の発達と変化し, 分岐・挿入がありやや不規則である。右殻はI. reduncus Pergamentとかなり似ている。古丹別と小平の中部・上部セノマニアンに産する。(3)I. virgatus Schluter.従来別種又は亜種とされていたI. scalprum Bohmを同一種内の1変異とし, 改正定義した。左右準等殻で, 殻は平坦に近いが, 左殻はやや高まり, 殻頂も〓線を少し越えている。準円形か太めの準卵形で, HとLはほぼ等長か, いくらかH>L;〓線は長く、成長軸はこれを55°〜65°で直線状に走り, 後期に前又は後方に凹のゆるい曲線をなすこともある。殻表面に同心円状の細密な条線とゆるい起伏(肋の前兆程度)がある。この起伏がもっと強くなればI. atlanticus Heinzに近くなる。殻内面に放射状の条線が時おり認められる。小平地域Mfの中部〜最上部に産し, 大夕張にも若干の資料があり, 海外でのセノマニアン下部〜中部の産出と調和する。
- 日本古生物学会の論文
- 1987-10-30
著者
-
松本 達郎
C
-
浅井 明人
o Department of Geology, Kyushu University 33
-
平野 弘道
Division of Geology, Department of Mineral Industry, School of Science & Engineering, Waseda Univers
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