547. 仙台付近の火成岩中のサンドパイプ
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概要
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穿孔貝が火成岩に穿孔することは, 現生, 化石共に従来全く知られていなかったが, 筆者は仙台付近に分布する茂庭部層の直下にくる, 高館安山岩の石英安山岩, 安山岩などの表面に, 穿孔貝によって掘られた多くの巣穴を発見した。完全に近い状態の巣穴は, 砂で埋められイチジク状のサンドパイプになっていて, Pholadidea sp.を内在しているが, 多くの巣穴はその上端が削られて皿状になっている。これらのサンドパイプは, 堆積岩中に見られるものと大体の形態的特徴は同じであるが, 長さが短く軸が著しく曲っている点が違っている。これらは高館安山岩に見られる他, 茂庭部層, 綱木層, 七北田層などの礫岩中の, 安山岩, 石英安山岩の巨礫の表面にも多く認められ, その分布も限られているので, 地層の堆積環境の解釈や, 含有化石群集の解析のために, 極めて有効な手掛りとなる。なお, 仙台付近以外にもこのようなサンドパイプの発見が期待される他, 火成岩中に穿孔している現生の穿孔貝の発見が予想される。
- 日本古生物学会の論文
- 1968-12-30
著者
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増田 孝一郎
Department of Geology, Miyagi University of Education
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増田 孝一郎
Department Of Geology Miyagi University Of Education
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