北ボルネオ産クルマエビ属エビの1新種について
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概要
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1977年2,3月,北ボルネオ(マレーシヤ領)のTawau,SandakanおよびKuchin沖で底曳き網により採集されたクルマエビ属(Penaeus)のエビを後日,分類中,26個体(雄16,雌10)の見慣れない,比較的大型(全長124〜200m)のエビを見出した。それらは一見P.merguiensisやP.indicusに似ているが,精査するといくつかの相異点がみられ,それらは既存の種の記載に合致せず,新らしい種と認められた。新種の特徴は次のとおりである。額角は直線的で,antennular peduncleのほゞ先端に達し,上縁に7〜8棘(胃上棘も含む),下縁に4〜5棘を備える。Rostral crestは低い。Adrostral carina(額角側峰)はepigastric spine(胃疎上)の後に達する。Gastro-orbital carina(眼胃峰)はよく発達し,hepatic-spine(肝棘)とpostorbital margin間の約2/3を占める。Hepatic carina(肝峰)を欠く。成体雄の第3顎脚指節は前節(先端部の毛の房は痕跡的)とほゞ同長である。Thelycum(雌の外部生殖器)のanterior plateはよく発達し,やゝ三角形を呈する。また,他の3近縁種(P.indicus, P.merguiensis, P.prnicillatus)との相異点も挙げ,新種の特徴を示した。種名は,インド中央海洋水産研究所所長で,エビ類研究者でもあるF. G. SILAS博士をたたえて,Penaeus silasiと命名された。標本はインド中央海洋水産研究所に,一部東南アジア漁業開発センター養殖部局に保管されている.
- 日本甲殻類学会の論文
著者
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