フィリピン産サルエビ属エビの1新種について
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概要
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1978年12月26日夜,Tigbauan(Panay島,フィリピン)沖,水深約7mの泥質地でトロール漁を行った際,他のクルマエビ類(Decapoda,Penaeidea)に混じって多くのサルエビ属(Trachypenaeus)のエビが採集された。そして,同時に漁獲されたT.asperおよびT.fulvusに混じって,一見それらと酷似するが精査すると,いくにかの点で相異する76個体(雄28,雌48)が発見された。その特徴は以下のとおりである。生時または新鮮時,antennal flagellumは白または桃白色,第1〜5腹筋の後縁部に狭い淡赤色の横縞があり,尾節と尾肢は赤色,尾肢は白く縁どられている。体全体の印象は淡赤褐色である。第2,3歩脚にmastigobranchiaがあり,第1歩脚ではこれを欠く。Petasma(雄の外部生殖器)のdisto-lateral projectionの下縁は凹型であり,thelycum(雌の外部生殖器)の前板は深くへこんでいる。以上を総合した特徴は既存の種には見られず,よってこのエビを新種と認めた。新種はフィリピンにおけるエビ類研究の先駆者Domiciano K. VILLALUZ氏(東南アジア漁業開発センター養殖部局の前部局長)の名前に因んでTrachypenaeus villaluziと命名され,同部局およびインド中央海洋水産研究所に保管された。また,他の3近縁種(T.asper, T.curvirostris, T.fulvus)との相異関係も論じ,更にT.asperはT.curvirostrisと独立の種であることを理由づけた。
- 日本甲殻類学会の論文
著者
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