工具の製作に關する研究 : 第1報、鑢の切味と新考案の目切法に就て
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概要
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鑢は従来ハーバート試験法により専ら其の切削し得る試験片の長さによつて其の性能が定められた。人力で使用される工具の性能を切削に必要な力を除外して決定するのは完全な方法と云ふことは出來ない。本實験に於ては切削に必要な切削方向の力を測定し、此の力と鑢面に加へた直圧力とより切削に必要な合力を決定した。又鑢の1,000衝程の間に切削し得る切削量を求め此の切削量(gr)を前の切削合力(kg)で除し、その値をcで表はし鑢の性能即ち切味を決定した。實験に使用した試験機械は東京工業大學機械工學科工作實験室設備のハーバート鑢試験機械を改造したもので、切削力の測定には水晶の圧電気を利用した圧力計を用ゐた。内國製及外國製の12吋荒目鑢を用ひ軟鋼を切削する時の切味を決定した結果は最優良な鑢に於てc=1.50gr/kg, 最不良な鑢に於てc=0.39gr/kgとなつた。上の實験の補助實験として實際人間が鑢を使用したとき加へる直圧力を圧電気圧力計により測定し大體15kg前後であることを確かめた。又同一鑢に於て直圧力を變化せしめた時切味が如何に變化するかを試験した處殆どその影響のないことが明にされた。鑢の刄の角度は従来のものでは、切削面斜角はすべて負の値を有してゐる。刄に正の切面斜角を與へるときは切味が良くなるであらうことは普通の工具の形状より豫想し得る所である。切削面斜角を變化せしめた時切味が如何に變化するかを實験することは従来の目立法による鑢によつては殆ど不可能なことを知つたので新しい目切法を考案し摺削機によつて自在に角度を變へた鑢を作つた。實験の結果切削面斜角を負より正にするに従ひ切味は2倍以上良好となることを知つた。又目の傾きと切味の關係を知るため傾きを50°, 60°, 70°及びに80°變じて試験した處大體軟鋼の切削にあつては60°のものが良好な事を確めた。
- 一般社団法人日本機械学会の論文
- 1931-12-01
著者
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