Cellular Basis からの免疫過程の解析 : 1. 実験的アレルギー性甲状腺炎の免疫過程 : MIF 活性を中心として
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概要
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目的 : 実験的自己免疫疾患の病理発生を cellular immunology の立場から解明することを目的として, 同種甲状腺抽出物を CFA とともに Hartley 系モルモットに注射して作成した実験的甲状腺炎について, その成立過程を MIF 活性を中心に経時的に追跡し, MIF活性と組織病変・皮膚反応および体液性抗体との相互関係を検討した.あわせて, 甲状腺炎発症動物における遅延型過敏反応性の臓器特異性を, 甲状腺ならび他の臓器抽出物を用いて検討した.検索方法 : テスト抗原には, 同系潅流甲状腺抽出物を使用した.1)感作動物の全身リンパ節細胞培養上清についての間接 MIF assay, 2)皮内テスト, 3)Golub 法による plaque forming-cell assay, およびタンニン酸処理赤血球凝集反応, 4)形態学的検索.結果 : 1. MIF 活性は甲状腺の組織病変との間に明瞭な相関関係を示し, さらに皮膚反応とも平行関係を示した.発現の時期にはずれがあり, 1)組織病変は軽度ながら抗原感作後1週ですでに出現し, 4週から7週にかけて強く, 11週でも持続した.2)皮膚反応は感作後2週に病変よりやや遅れて現われ, 3週から6週にかけて強く, 7週以後は消失した.3)MIF 活性は皮膚反応出現よりさらに遅れ感作後3週に出現し, 4週から7週にかけて強く, 11週では軽減した.消失の時期は皮膚反応よりやや遅れる傾向にあった.2. 甲状腺抽出物に対する血清抗体価は, 感作初期にはほとんど認められず, 病変の強い4週から7週にかけて約半数の動物に2^4から2^9の抗体価が認められた.プラーク形成細胞は検出しえなかった.3. 甲状腺抽出物による感作動物は, 甲状腺抽出物に対してのみ臓器特異的に反応し, 肝・腎・副腎および脳抽出物との間には交叉反応を示さないことが, 遅延型皮膚反応のみならず MIF 活性においても確かめられた.また, ヒトサイログロブリンとの間にある程度の交叉反応性を示した.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1972-08-30
著者
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