免疫抑制剤の抗アレルギー作用についての一考察
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概要
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adjuvant 接種ラットの足蹠に, 数日後 carrageenin を注射すると, 急性炎症 (acute phase)につづいて, おそらく adjuvant 関節炎と共通の機構で発生すると考えられる持続遅延型の炎症 (prolonged phase) が発症した.このモデルに対して, cyclophosphamide, methotrexate, azathioprine, 6MP の4種の免疫抑制剤の効果をしらべると, いずれの薬剤も, acute phase にはほとんど効果がないが, prolonged phase を著明に抑制した.種々の実験成績より判断して, 免疫抑制剤の prolonged phase に対する抑制作用は, 免疫抑制剤のアジュバント感作細胞の増殖(細胞性抗体産生)抑制作用でも, 単核球に対する強い遊走抑制作用でも, また非特異的抗炎症作用によるものでもないと推測された.仮説の域を脱しえないが, 免疫抑制剤は, おそらくアジュバント感作細胞が炎症局所に遊走してから prolonged phase とよばれる炎症がおこるまでのなんらかの過程に作用したのではないかと思われる.これらの実験成績をもとに, 膠原病などに対する免疫抑制剤の作用機序を考察した.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1972-08-30
著者
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