瀬戸内海産カイミジンコ類,カリストキテレ プミラとレグミノキテレイス ビサネンシスについて
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概要
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瀬戸内海産カイミジンコ2種を報告する。1.カリストキテレ プミラ 殼は長じん臓形,長さ0.5 mm,高さその1/2,後背部に基角がある。殼面は,大(後部・前腹部),小(前背部)約100個の小穴があり,網目状。前後縁に2(〜3)本の縁稜がある。織縁は殼縁部にあり,それにほぼ平行に内耳縁がある。放射毛細管は3(ときに2)個ずつ基部で癒合し,特異な形になる。第1触角は5節からなり,第3・4・5節にそれぞれ1・2・1本の爪がある。第2触角は4節,末節に2本の爪がある,紡績突起は2節で,末端爪の先端近くに達する。大顎の触鬚の末節は非常に小さい。歩脚(第2小顎と第1・2胸脚)は各5節,第5節は末端爪の基部となる,剛毛式(第1節的縁中央の剛毛数)は2/1/1。鹿久居島の海岸の砂泥の中から冬に多数採集された。♂はいなかった。有明湾の海岸から,花井(1957)により,殼片が発見されている。2.レグミノキテレイス ビサネンシス 殼はだ円形,長さ0.8-0.9mm,高さ0.45mm。殼表には多数の細良い穴があり,ほぼ水平に並ぶ。織縁に沿い数個の小突拡があり,後腹部に1本の大きな棘がある。織縁はよく発達する。内外両耳縁はない。放射毛細管は長く,基部の近くが少し膨れる。そこからでる毛のうち,節縁部のものは分枝して羽毛状。癒合合線は前部で内縁より少し離れる。第1触角は6節からなり,第4・5・6節に各1本の細い爪がある。第2触角は4節,末節に3本の爪がある,紡績突起は3節,♀で短く,♂で良い。大顎の触鬚の末節は細長い。歩脚の剛毛穴は2/2/1,第1節の前縁の剛毛はすべてむち状,第1・2脚の第1節後縁には葉状毛がある。♂の右の第1は著しく肥満する。渋川海岸の約20m沖,水深10mの泥中より採集された。BRADY(1880)により瀬戸内海の備讃瀬戸より発見され,その後日本各地より報告されている。今までhodgiiと呼ばれていたが,その原記載と明らかに異なるのでbisanensisと改名する。
- 1975-10-30
著者
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