オニヒトデの皺胞胚
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概要
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オニヒトデAcanthaster plancihaはその正常発生の過程に皺胞胚期を有することが知られた。972年11月29日潮岬付近で採集された成体より金谷の方法によって成熟卵を得た。オニヒトデの成熟卵は平均直径が約190μの貧黄卵で加精の約1時間後には高さ約40μの囲卵腔が形成される。卵割型式は全等割・放射型で,27℃において加精の6-7時間後に託け中空胞胚になる。その1-2時間後胞胚壁の数個所に陥入がおこり皺胞胚期に入る。これらの陥入は次第に増加するとともに深くなり,皺胞胚形成開始の1-2時間後陥入は卵割腔の中央に達し肝表は屈曲した皺でおおわれる。やがて再び陥入は浅くなり皺は単純になる過程が進行し皺胞胚形成開始の約3時間後に託け表面の滑らかな中空胞胚になる。このような皺胞胚形成と再び表面の滑らかな胚になる変化はイトマキヒトデやモミジガイなどで観察された過程と類似している。加精の16-17時間後に胚の1極より陥入が生じのう胚期に入る。このように皺胞胚期を経過したのう胚はオニヒトデで以前報告されたものと同様で,本種の皺胞胚期は発生過程中の正常なstageであることが示された。(第9回動物分類学会大会にて講演)
- 日本動物分類学会の論文
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