アカヒトデの雌雄同体
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概要
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1970年8月4日富山湾で採集したアカヒトデ中に1個体の雌雄同体が発見された。本種は各腕の両側の基部から先端まで多数の房状の生殖巣が並ぶ,いわゆるserial gonad を有する。この個体は第1腕の第2腕側の腕の基部近くの生殖巣1個のみが卵巣で他のすべては精巣であった。この卵巣中に見られる卵の多くは直径150-400μであったが,まれに1,000μに達する卵が見られた。しかし,この大型の卵は長楕円形で正常卵と思われない。さらに,この卵巣中には種々の大きさの退化卵がみられた。一方同時期に採集された正常個体の卵巣卵の多くは400-700μで退化卵はほとんどみられなかった。この卵巣と正常個体の卵巣壁および生殖輪管の構造に差はみられなかった。この個体の精巣は成熟した精子で充満し,正常雄個体の精巣組織と同様であった。著者らは数年間にわたって900個以上の個体を観察したが,このような雌雄同体はただ1個体発見されたのみで本種は明らかに雌雄異体の種である。
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