日本産海星類の1新種, Asterina minor sp. nov.について
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概要
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和歌山県串本産の多数の小さいイトマ牛ヒトデ属の個体を検した。最大個体でR 6mmを測るにすぎない。本種は一見,ヌノメイトマキヒトデかトゲイトマキヒトデの幼体のように見える。しかし,非常に小さいが成体とみなすべきもので,生殖習性や幼生の形態がヌノメイトマキヒトデと全く異っている。生殖孔は体の腹側に開き,卵は大さく500μ径を測り,ブラキオラリア幼生は長靴型で,ビピンナリア幼生期を欠く。卵は多分海岸の石の下面に産みつけらるものであろう。トゲイトマキヒトデの生殖習性と幼生は未知であるが,その生殖孔はヌノメイトマキヒトデと同様に体の背側に開くものである。その体形は上記2種とコイトマキヒトデ,イトマキヒトデの幼形との中間的星形五角形を示し,その背骨格と小柱体棘はスノメイトマキヒトデに近く,復側板棘,側歩帯板棘はむしろトゲイトマキヒトデに類似する。イトマキヒトデ属の分類は幼体の場合には一般に困難な類で,特にRが4mm以下の場合には一巡のよい標本を必要とするのであるが,本種は既知種とは異なる日本産の新しい種と考えらるものである。学名: Asterina major sp. nov. 和名: チビイトマキヒトデ。
- 日本動物分類学会の論文
- 1974-12-14
著者
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