ハルサザンカの起原に関する細胞遺伝学的研究(第5報)cpDNA分析による約400年前に成立したハルサザンカの種子親の推定
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概要
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これまでに, ハルサザンカCamellia×vernalis T. Tanaka et al.は, 形態, 染色体およびアイソザイム分析からサザンカとヤブツバキ間の交雑により成立したと報告されている.ツバキ属の葉緑体DNAは, 他の被子植物と同様に, 細胞質(母系)遺伝をすることが示されており, ハルサザンカにサザンカの葉緑体が存在すれば, サザンカがこれらの雑種の種子親であると考えられる.atpI atpH遺伝子領域のPCR産物は, サザンカおよびハルサザンカではすべて約800bpの位置に, ヤブツバキでは約1200bpの位置に単一のバンドを示した.これらの結果は, 1)一次雑種と推定されたハルサザンカ'凱旋'の種子親はサザンカである, 2)ヤブツバキへの戻し交雑第一世代と考えられるハルサザンカ三倍体品種群の種子親は'凱旋'と考えられる, さらに, 3)戻し交雑第二世代と考えられる'笑顔型'四倍体品種群の種子親はハルサザンカ三倍体品種群に由来する, ことを示唆している.ハルサザンカは, 平戸島にある古木の樹齢および1630年に出版された本の記録'鷹の爪'などから判断して約400年前にその起源があると推定されている.したがって, 本研究の結果, ハルサザンカの種子親は400年前に遡ってサザンカであると示唆された.
- 2005-11-15
著者
-
田中 孝幸
九州東海大学農学部
-
谷川 奈津
農研機構花き研
-
谷川 奈津
農業・生物系特定産業技術研究機構 花き研究所
-
柴田 道夫
農業・生物系特定産業技術研究機構 花き研究所
-
水谷 高幸
九州東海大学農学部
-
Parks Clifford
Department of Biology, University of North Carolina at Chapel Hill
-
柴田 道夫
農業・生物系特定産業技術研究機構花き研究所
-
Parks Clifford
Department Of Biology University Of North Carolina At Chapel Hill
-
谷川 奈津
農業・生物系特定産業技術研究機構花き研究所
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