レタス(Lactuca sativa L.)およびその近縁野生種(L. saligna L.)との種間雑種のF_2世代に出現した3倍体痩果の形質とアイソザイム分析
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概要
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レタスLactuca sativa L.'ブロンズ'と近縁野生種L. saligna L.との種間雑種Lactuca saligna × L. sativa cv. Bronzeの2系統の自殖後代において,それぞれ39個体のうち7個体(18%), 65個体のうち4個体(6.2%)は3倍体であった.'ブロンズ',L.salignaおよびF_1雑種の痩果の長さと重さはそれぞれ4.01,1.04;2.70,0.35および4.41mm,1.33であった.また,L.salignaに'ブロンズ'を交配して得られた痩果は,最も小さく2.51mm(0.29)であった.F_1雑種の痩果は3.3から6.2mm.0.2から2.4mgと幅広く分布し,3倍体の痩果重を含め,2つのグループに分かれた.1つはL.sallgnaより大きく,'ブロンズ'と同程度のグループで,もう1つは明らかに'ブロンズ'よりさらに大きいグループであった.5つのアイソザイム遺伝子座,Got-1,Pgi-1,pgi-2,Pdh-1およびPdh-2の分析の結果,3倍体植物ではバンドの比活性が4:4:1の推測上の比を示した.5つのアイソザイム遺伝子座において11個体の3倍体植物では全くホモの遺伝子型が見られなかったことから,3倍体は正常な半数体の配偶子と丙種の遺伝子を全て有する非還元性の2倍体の配偶子との受精によって生じたと考えられた.また,5つの遺伝子座で小粒の痩果は'ggl'の遺伝子型が多く,大粒のものは'gll'の遺伝子型が多かった.これらのことから,どちらかの親に偏った染色体あるいは遺伝子の組み合わせをもつ配偶子は種間の遺伝子をランダムに待つものより生存能力が高く,遺伝子型の偏りを生じたものと考えられた.
- 園芸学会の論文
- 2004-07-15
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