母乳摂取不足の新生児における高ビリルビン血症とそれに対する粉乳補充意義の検討

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母乳摂取不足が新生児の高ビリルビン血症 (以下高ビ血症) の発生に与える影響を, 新生児の摂取した水分, カロリー量と, 新生児体重減少率から比較検討し, 同時にそれに対する粉乳補充の意義をも検討した. 150例の単胎正期産の新生児を, 1日目から6日目までの母乳総摂取量が330ml/kg未満の母乳不足群50例 (粉乳非補充群20例と補充群30例)とそれ以上の対照群100例に分けた. 粉乳非補充群の6日間水分摂取量とカロリー摂取量は対照群に比べ有意に低く (p<0.002, p<0.0001), 新生児体重減少率は有意に多かつた (5日目 : p<0.0001, 6日目 : p<0.001). 高ビ血症の発生と光線療法施行頻度については, 粉乳非補充群は対照群より有意に高かつた (x^2-test, p<0.01, p<0.05). 一方, 粉乳補充群は非補充群より, 6日間の水分摂取量とカロリー摂取量は有意に増加し (p<0.02, p<0.002), 新生児体重減少率は有意に少なかつた (3日目 : p<0.05, 5日目 : p<0.05, 6日目 : p<0.05). 高ビ血症の発生と光線療法施行頻度についても, 粉乳補充群の方が有意に少なかつた(x^2-test, P<0.05, P<0.05). 以上より母乳摂取不足を放置するのは, 新生児に体重減少, 高ビ血症発生の悪影響を与えることが示唆された. 粉乳の補充は水分, カロリー不足を補うことにより生理的状態に近くなり, その結果体重減少と高ビ血症の発生率を対照群と同程度に減少させることが可能となり, 母乳分泌不全症例において重要な意義をもつことが明らかとなつた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1988-09-01

母乳摂取不足の新生児における高ビリルビン血症とそれに対する粉乳補充意義の検討

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