子宮内胎児発育障害の超音波ならびに生化学的診断とその出生前治療について

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子宮底発育曲線が正常妊娠の一1.5SD以下であり,かつ超音波断属法で計測した子宮内容穣がGohari etal.^<12>)の基準で_lSD以下であった妊娠において.bed rest,高蛋白食,糖質(マルトース)輸液を打って,発見時(治療前),2週後,4週後にそれぞれ超音波計測および生化学的測定を打って以下の結論を得た。(1)まず子宮内容積は児の出産体重や出生前治療効果をよく反映し,最終計測値において,Gohari et al.の基準で_1SD以下の21例中15例(71.4%)にsmall-for-date児が出産し,逆にfalse negativeはなかった.そのほかの物理的計測値では,児頭大横径,子宮底長,子宮内腔縦径の順で児の出産体重や出生前治療効果との関連性がみいだされた.(2)母体生化学値では血漿エストリオール値,血漿ヒト胎盤ラクトーゲン値,尿中エストリオール値,血漿α-fetoprotein値,血漿プロゲステロン値の順で児の予後との関連性がみられ,最終測定値において血漿エストリオール値がTulchinsky^<19>)の95%信頼限界値か,血漿ヒト胎盤ラクトーゲン値がSpellacy^<16>)のfetal distress zone以下のいずれかであった22例中13例(59.1%)にsmall-for-date児が出産し,false negativeが2例(13.3%)にみられた.また母体生化学値は出生前治療によって改善され難いことをみいだした.(3)bed rest,高蛋白食,糖質輸液だとの出生前治療によって子宮内容積が著明こ改善されたものが40例中19例(47.5%)あり,これらからはいずれもappropriate-for-date児が出産した.しかしながら母体に晩期妊娠中毒症を伴った9例では,いずれも治療効果がみられず,子営内容穣は-1.5SD以下にとどまり,かついずれもsmall-for-date児が出産した.(4)子宮内胎児発育障害を管理するためには超音波計測,とくに胎児体積を反映するparameterを計測してその変化を追求し,また胎児環境を反映する母体生化学値を測定してその変化を追求する必要性があると考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1980-01-01

子宮内胎児発育障害の超音波ならびに生化学的診断とその出生前治療について

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