卵巣悪性腫瘍の生化学的診断法の評価
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概要
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種々の血清腫瘍マーカー(lactate dehydrogenase(LDH), LDH isozyme, hydroxybutyrate dehydrogenase(HBD), alkaline phosphatase(ALP), cholinesterase(Cholin-E), aldolase(ALD),γ-glutamyl transpeptidase(γ-GTP), leucine aminopeptidase(LAP), human chorionic gonadotropin(HCG), carcinoembryonic antigen(CEA), and α_1-fetoprotein(AFP))の比較が卵巣悪性腫瘍,卵巣良性腫瘍および正常対象との間でなされた.卵巣悪性腫瘍において最も高い陽性率を示したのはHBD(76.5%)およびCholin-E(73.3%)であった.しかしながらCholin-Eの場合,偽陽性率も最大(50.0%)であった.偽陽性率の最も低いマーカーはALD(0.0%)であったが,陽性率も低く(40.O%)I,II期の早期癌での陽性率は0.0%であった.I,II期の早期癌での陽性率はHBD(62.5%)で最も高く,次いでLDH(41.7%),CEA(23.0%)およびALP(14.3%)であった.卵巣癌の早期診断のために単一のマーカーとしてはHBDが最も信頼出来るマーカーと思われた.I,II期の早期癌でLDH活性が正常範囲にあっても,LDHアイソザイムパターンの異常のみられるものが4例中3例にあり,両者を組合わせた場合I,II期での診断率は75%と著しく向上した.CEA,AFPおよびHCGの全体での陽性率は夫々26.9%,19.0%および7.1%で卵巣癌のスクリーニングのためには不充分と思われた.同様にLAPおよびγ-GTPのマーカーとしての意義は卵巣癌に対してはない様に思われた.ALP全体の陽性率は36.7%で偽陽性率7.1%であったが,早期癌における陽性率は14.3%と低く,HBDおよびLDHに比しマーカーとしての信頼性に乏しかった.LDH,HBDおよびALPの腹水および組織中の検索より,血清LDHおよびHBDの上昇は組織由来のものが主に反映されていることが示唆された.ALPの抑制剤による抑制テストは新しい卵巣癌のマーカーとして有用である様に思われた.
- 1983-03-01
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