ヒト卵巣癌由来細胞株の増殖に及ぼすProstaglandin D_2の抑制効果

概要

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Prostaglandin D_2(PGD_2)が腫瘍細胞に対する抑制効果を持つことはよく知られている。我々はヒト卵巣癌由来細胞株を用いて、そのin vitro及びin vivoでの抑制作用について検討し、次の結果を得た。(1)PGD_2 0.1〜4.0μg/mlの濃度で、24時間、48時間、72時間いずれの接触時間においても、細胞増殖を濃度依存性に抑制した。(2)PGD_2の24時間、48時間、72時間の接触時間におけるIC_<50>は各々、2.0μg/ml、1.1μg/ml、0.55μg/mlで、細胞増殖を時間依存性に抑制することが判明した。(3)^<51>^Cr-releaseは濃度依存性に増加し、PGD_2の細胞増殖抑制は直接のcytotoxic作用によるものであると考えられた。(4)DNA、RNA、蛋白合成はいずれもPGD 22.0μg/m1以上の濃度で濃度依存性に抑制された。(5)in vivoでは、0.1mg、0.3mg投与群いずれも、腫瘍体積は非投与群に比して低値を示し、有意の差が認められた。(6)α-hydroxybutyrate dehydrogenase活性はPGD_2 0.3mg投与群で2週目、3週目に低値を示し、4週目以降は非投与群と同様な上昇を示した。(7)survival timeは、非投与群の50%survivalが52日、0.1mg/ml PGD_2投与群では55日、0.3mg投与群では67日で、0.3mg投与群で有意な延命効果を認めた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-02-01