当教室における子宮頚癌に対する手術療法 : とくにIb期術後照射の適応基準と骨盤腹膜無縫合術式について

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防衛医科大学校産科婦人科学教室で昭和54年2月より昭和61年6月までの約8年間に子宮頚癌160例を外科的に治療したが, この間Ib期の術後照射に関して独自のクライテリアを設定している。また, 広汎子宮全摘術の際, 骨盤腹膜縫合を行わない術式を試みている。今回は過去8年間の治療成績を臨床統計的に分析し, 以下の結果を得た。1) 症例の年齢は平均49.8歳 (26〜82歳)。臨床進行期は0期55名35.2%, Ia期14名8.9%, Ib期45名28.8%, IIa期15名9.6%, IIb期16名10.2%, III期10名6.4%, IV期1名0.6%。期別3年生存率は, 0期100%, Ia期90%, Ib期90.6%, IIa期84.6%, IIb期79.5%, IIIa期60%, IIIb期55.5%であった。Ib期の3年生存率は扁平上皮癌95.7%, 腺癌79.5%であった。Ib期における3年生存率は, リンパ節転移のない群では96.2%, 転移のある群では65.6%で, 両者間には有意差 (p<0.05) がみられた。リンパ節転移のないIb期放射線併用群 (病巣が直径1cm以上, 頚管壁浸潤1/2以上の群) は, 非併用群 (病巣がそれ以下の群) よりも3年生存率が高かった。4) 広汎全摘術の際, 骨盤腹膜縫合非施行群では施行群に比較し手術時間の短縮が可能となり, 両者間には術後経過 (残尿消失日, 術後イレウスの頻度, 有熱日等) に差がみられなかった。以上より, 臨床的背景は諸家の報告とほぼ同様であったが, Ib期でも術後照射を行った方が良い成績が得られること, また広汎子宮全摘術の際, 骨盤腹膜の無縫合でも十分であることがわかった。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1988-12-01

当教室における子宮頚癌に対する手術療法 : とくにIb期術後照射の適応基準と骨盤腹膜無縫合術式について

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