Flexible Hysterofiberscopeの開発およびその臨床応用

概要

論文の詳細を見る
現在汎用されている診断用ヒステロスコープのほとんどは硬性鏡であり,径7mmほどの外管をもつため子宮腔への到達には通常頚管拡張およびトラカーが必要とされる.その操作は患者に疼痛を与え,それに付随する出血や血塊形成は観察を妨げる.また,盲目的な器具の挿入は内膜を損傷することがあり,その本来の形態を変えさぜ診断を困難にさせる.さらに,硬性鏡による卵管口の観察は必ずしも容易ではなく,術者はかなり窮屈な体位を強いられるが,それでもなお観察の困難な症例もしばしば見られる.これらの問題を解決するため,今回われわれは富士写真光機の協力を得て,軟性および硬性の混合式ヒステロファイバースコープ(直径3.7mm)を開発し臨床に応用したので報告する.方法:昭和60年11月から61年9月までの間に,計411症例に新しいヒステロファイバースコープを用いて子宮鏡検査を行った.灌流液は10%ブドウ糖液を使用し,ラパロスコピーと同時に行った22例は全身麻酔下に,他の症例は全て無麻酔で行った.子宮鏡検査前の臨床診断は,不正***出血187例,子宮筋腫80例,経頚管的切除術後22例などである.成績:不正***出血187例のうち閉経前症例は164例で,子宮鏡診断では正常子宮内腔72例,内膜ポリープ18例,粘膜下筋腫18例,内膜増殖症16例などであった.閉経後の不正出血21例の子宮鏡診断は,内膜ポリープ6例,子宮内膜炎5例,正常子宮内腔4例,などであった.不妊患者52例では,正常子宮内腔22例,頚管ポリープ6例,内膜ポリープ6例,子宮腔内癒着症4例などが見られ,一部の例外を除きほとんどの症例において両側卵管口の観察が可能であった.全症例に顕官拡張せずに施行したが,子宮腔内挿入不能例が12例あった.検査による副作用は1例も見られなかった.以上の成績より,今回開発したスコープは頚管拡張および麻酔をせずに頚管内,子宮内腔,両側卵管口を自然に近い状態で観察することを可能とし,臨床診断に有効と考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-04-01

Flexible Hysterofiberscopeの開発およびその臨床応用

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク