新しい処置用ヒステロファイバースコープの開発およびその臨床応用

概要

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屈曲可能な軟性部分と硬性部分をもつヒステロファイバースコープ3機種 (富士写真光機製) を試作し, そのうち最も優れていると判断された3号機を62症例に臨床応用した. 今回開発した3号機処置用ヒステロファイバースコープは外径4.8mm, 視野角90゜で, 先端の上100゜, 下90゜まで屈曲可能の軟性部, 中間の硬性部, その近位側の各方向45゜まで自由に固定できるフリーストップ機能をそなえた半硬性部および本体から構成される. 硬性部には軸を左右計140゜まで捻転できるローテーション機能があり先端の屈曲機能と合わせ子宮内の目標部位まで直接到達させることが可能である. その臨床応用は外径3.7mmの診断用ヒステロファイバースコープによる観察終了後ひきつづき使用することを原則とし頚管拡張および麻酔はまつたく不要であつた. 使用対象例は以下の4群に大別される. 1. 直視下生検. 内膜ポリープ13例, 粘膜下筋腫8例, 内膜増殖症4例, 頚管ポリープ3例, 子宮体癌2例, その他5例の計35例に直視下生検を行つた. 子宮体癌の2例は悪性, 他は良性と適正に診断し得た. 2. 経頚管的卵管再疎通術 (TCRC). 卵管間質部閉鎖の不妊患者6例 (片側閉鎖4例, 両側閉鎖2例) に全身麻酔下に腹腔鏡の併用により卵管口より尿管カテーテルまたは経皮的冠動脈拡張用バルンカテーテルを挿入し卵管の再疎通をはかつた. 片側閉鎖の全例に通過性の回復がみられ両側閉鎖2例にも片側の通過性回復がみられた. 3. 子宮鏡下絨毛採取術 (HCVS). 超音波断層法の併用で妊娠7週から14週までの人工中絶症例に中絶手術に先立ち子宮鏡直視下の絨毛採取を行つた. 15例において十分な絨毛採取に成功し, 3例において採取に失敗した. 4. 除去困難なIUDの抜去. 3例の患者に実施した. 今回開発した処置用ヒステロファイバースコープは多くの子宮内操作を可能としスコープの外径と操作性において硬性鏡あるいはそのAlbaran bridge装置による間接的操作より優れており, 産婦人科診療に有用な器機と考える.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1988-11-01

新しい処置用ヒステロファイバースコープの開発およびその臨床応用

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